好きで始めた写真や楽器なのに、集まりへ行くと上手な人ばかりが目に入る。帰り道には「僕が続けても意味がない」と感じてしまう。そんなときは、趣味への興味がなくなったのか、人と比べる場面で楽しさが隠れているのかを分けて考えてみてください。
趣味で人と比べてしまう原因として考えられるのは、周囲の出来栄えで自分の参加資格まで判断してしまうことや、学ぶための観察が順位づけに変わることです。性格だけで片づけず、「何を見た後、何をするのがつらくなったか」をたどると、変えられる場所が見えてきます。
僕が提案したいのは、比較を完全になくすことより、見学・練習・作品を見せる時間を分けることです。ここでは、趣味の集まりで気後れする場面に絞って、参加の仕方を整えます。
趣味で人と比べてしまう原因は、上達と参加資格の混同かもしれません
「上手でないとここにいてはいけない」と考えている
同じ場所で活動していても、作品を売りたい人、技術を磨きたい人、休日を楽しみたい人では、参加の目的が違います。それなのに一番上手な人を見て、「この水準に届かない自分は場違いだ」と考えると、好きで来た場所が試験会場のようになってしまいます。
たとえば写真の集まりで、誰かの作品を見た後に自分の写真をしまい込む場面です。「この写真の構図は参考になる」から「自分は写真を撮るべきではない」へ話が広がっていないでしょうか。一枚の出来栄えから、趣味を続ける資格までは決まりません。
ただし、募集要項に経験や技術の条件がある集まりもあります。参加資格は想像で決めず、案内文の条件で確認します。「経験不問」と書かれている場なら、周囲が上手でも、上手さを自分だけの追加条件にしなくてよいのです。
学ぶために見ていたはずが、自分の順位を探している
他の人の演奏や作品を見ることは、工夫を知るきっかけになります。ただ、見る対象が次々に増えると、何を学びたかったのかが抜け落ちて、自分より上か下かだけが気になってしまうことがあります。
見終えた後に手元へ残るものを確認してみてください。次のような違いが、観察の仕方を見直す手掛かりになります。
- 「窓からの光を使っている」と、試せる工夫が残る。
- 「あの人には勝てない」と、順位だけが残る。
- 「自分の作品は出せない」と、予定していた行動をやめたくなる。
後ろの二つが続くなら、見る量を増やすより、一つの作品の一つの工夫だけを拾う形に変えてみます。相手のすべてを吸収しようとしなくてかまいません。
感想を求めていない時間まで、評価の時間になっている
自分はただ作りたいのに、毎回作品を並べて講評する集まりでは、落ち着いて試せない場合があります。これは「比較に弱い自分」という説明だけでなく、今ほしい過ごし方と集まりの形式が合っているかという問題でもあります。
普段は楽しめるのに発表の直前だけ苦しくなるなら、制作そのものではなく、見せ方を調整できるか考えます。仕事での昇進や収入を見て焦る場合は、場面が異なるので、同年代の昇進や収入で焦るときの考え方を参照してください。
趣味の集まりでは、参加前に「今日は何をするか」を絞る
作品の出来栄え以外にも、参加の目的を置く
「楽しめたら成功」だけでは、途中で落ち込んだときに、その日全体を失敗と扱いやすくなります。出発前に、自分で実行できる用件を一つ選んでおきます。これは上達を諦めるためではなく、成果がまだ形にならない日にも参加する理由を残すためです。
- 写真なら、同じ被写体を立つ位置を変えて撮ってみる。
- 楽器なら、つまずく一部分の練習方法を聞く。
- 絵なら、使ったことのない画材の扱いを確かめる。
- 手芸なら、分からない工程を実演で見せてもらう。
これらは課題の例で、すべて行う必要はありません。「誰よりよい作品を作る」は相手次第ですが、「立つ位置を変える」は自分で試せます。帰りに確かめるのは、周囲の評価ではなく、選んだ用件に取り組めたかです。
参考にする相手より、参考にする箇所を決める
「あの人みたいになる」をそのまま練習目標にすると、技術も道具も発想も全部足りないように見えてしまいます。同じ相手から学ぶ場合でも、今日は何を聞くのかを狭くします。
質問するなら、「どうしたら上手になりますか」よりも、「この部分が暗くなるのですが、撮る位置はどう決めていますか」のように、困っている箇所を添えます。相手も、どこから説明すればよいかを判断しやすくなります。
教わった方法をすぐ再現できなくても、その場で自分の能力を判定する必要はありません。説明を理解することと、手を動かしてできるようになることは別の用件です。メモには助言を一つだけ残し、次に試す対象にします。
見せる範囲は、始まる前に相談する
作品を見せることが負担なら、集まりのルールを確認したうえで、見せ方を相談できます。何も言わずに耐えるか、参加をやめるかの二択にしなくてよいのです。
- 「今日は作業中心で参加してもよいですか」と、参加形式を確かめる。
- 「途中のものですが、この部分だけ相談したいです」と、感想の範囲を伝える。
- 「全体の講評は次の機会にお願いします」と、可能なら時期を変える。
発表が必須なら、その条件で参加するか、制作中心の別の場を探すかを選びます。他の参加者に評価を控えるよう一方的に求めるのではなく、自分が参加できる形式を確認する相談です。
上手な人を見て落ち込んだ後は、道具をしまう前に区切る
その日の勢いで、趣味をやめる決定まで進めない
集まりから帰ってすぐに道具を手放したり、参加登録をすべて取り消したりすると、疲れが取れてから考え直しにくくなります。今すぐ結論が必要でなければ、その日は片づけまでにして、続け方の判断を別の時間へ移します。
その際、「もう考えない」と無理に打ち消すより、次に確かめたいことを短く残します。たとえば「一人で撮る時間なら、まだ楽しめるか」です。集まりへの気持ちと、趣味そのものへの気持ちを、一度の帰り道でまとめて決めないためのメモになります。
道具を買い足して差を埋めたくなったときも、先に困りごとを一文にします。今の道具でできない作業が具体的にあるのか、それとも周囲と同じものを持つと安心しそうなのか。用途が書けなければ、購入は保留にして、手元の道具で次の作業を試します。
次の作業で使う情報だけを持ち帰る
振り返りを長くすると、他の人のよかった点と自分の欠点を際限なく並べてしまうことがあります。記録するなら、次のような短い作業メモで区切ってみてください。
- 今日試したことを書く。例は「窓の横へ被写体を移した」です。
- 次も使う工夫を書く。例は「背景を片づけてから撮る」です。
- 今回は扱わない課題を書く。例は「編集ソフトの検討は後にする」です。
比較した回数を数えたり、毎回前回より上手かを採点したりする必要はありません。完成品を増やす日もあれば、失敗する方法が分かる日もあります。持ち帰った工夫を試せるなら、その日の参加には次へつながる情報が残っています。
誰かに褒められても「自分より上手な人がいるので」と打ち消してしまう場合は、褒められても否定してしまう癖の整え方も参考になります。他の人の技術が高いことと、自分の作品によい点があることは両立します。
よくある質問
人と比べる気持ちが残っていたら、集まりを休むべきですか?
気持ちがあるだけで、休む必要があるとは限りません。比べても作業へ戻れるのか、参加するたびに好きだった作業まで避けたくなるのかで、過ごし方を考えます。短時間の参加や見学への変更ができるなら、その形を試す選択もあります。
休む場合も、趣味全体を禁止する必要はありません。一人で触れる時間を残して、集団の評価がない場でどう感じるかを確かめてよいです。休むことを、負けた証拠にしないでください。
競争を避けると、上達できなくなりませんか?
競争が練習の励みになる人もいますが、練習の方法は競争だけではありません。見本を参考にする、講師に一箇所を見てもらう、同じ課題を繰り返すといった取り組みも選べます。
大会や審査を目指すなら、基準に沿った評価が必要な場面はあります。その場合も、審査に備える時間と自由に楽しむ時間を分けられます。趣味のすべてを評価対象にしなくても、必要な練習は組み立てられます。
まとめ|上手な人がいても、自分の作業へ戻れる形を作る
比較の原因は、集まりの過ごし方から探す
趣味で人と比べてしまうときは、「自信がないから」で終わらせず、参加資格まで疑っていないか、観察が順位づけになっていないか、望まない講評が負担になっていないかを見ます。原因の候補が絞れれば、参加目的、質問、見せる範囲のどこを変えるかも選びやすくなります。
上手な人を低く評価する必要も、自分を無理に高く評価する必要もありません。相手の技術を認めながら、自分が作業する場所を残してよいのです。
今日できる一歩は、次に試す用件を一文にする
次の参加予定か、手元の道具を見て、「次は何を試すか」を一文だけ書いてみてください。「上手に見られる」ではなく、「分からない工程を聞く」「光の向きを変える」のように動作にします。
僕は、その一文を実行できる形へ整えることから始めるのを勧めます。比較が浮かんだ日にも戻れる用件を、次の自分へ渡しておきましょう。